
1966年東京生まれ。早稲田大学理工学研究科(建築専攻)修士課程 修了後、坂倉建築研究所に勤務。2003年建築家ユニット、プロスペクターを共同設立、2004年山本想太郎設計アトリエ設立。現在、東洋大学非常勤講師。INAX住宅産業フォーラム講師。『DETAIL JAPAN』誌技術翻訳総監修。主な作品に「水戸N邸」「国分寺の家」「板橋のリノベーション」「汐留プラザビル」など。主な著作に『テクトニック・カルチャー』(共訳、2002年、TOTO出版)、『現代住居コンセプション』(共編著、2005年、INAX出版)など
WEBサイト:http://park16.wakwak.com/~prospector/
5月号のDetail Japan誌の特集はコンクリートでした。今までも多くの欧州のコンクリート建築が紹介されてきましたが、日本のRC建築とちょっと異なる特徴があって、気になっていました。皆さんもお気づきだと思いますが、外壁や梁などの主要部分に、プレキャスト・コンクリート(PC)部材が多用されているのです。5月号に掲載されているディテールでも、随所にPC部材を見ることができます。
日本でもPCの構造材や、PC板と現場打ちコンクリートの合成床板などが用いられることはありますが、欧州ではもっと一般的に、PC部材が用いられているようです。もちろん精度や品質といった点で、工場で製作されるプレキャストは現場打ちコンクリートより優れています。しかし日本では主にコスト上の理由により、多量に同じ形状の部材が必要で、乾式工法が要求されるような場合にのみ用いられています。逆に言えば、いつでもどの現場でも生コンが入手できて、きれいに施工できる職人さんがいる、という建設産業基盤が確立されていることも示しています。
これは一言で言えば、ちょっとした建設文化の違いだと思っていました。しかしすこし前に、旧東ドイツのライネフェルデというところで、ドイツ統一後の人口減少と環境悪化への取り組みとして団地の「減築」プロジェクトに参加された相原俊弘氏から、興味深いお話を伺いました。そのプロジェクトでは、減築に伴って解体された外壁のPC材料を、いつかどこかで使うときのためにすべて地下倉庫に収蔵したというのです。本当に使われるのかどうかは解りませんが、リサイクルの大変な鉄筋コンクリートも、このようにリユース材料と考えれば、一転して環境負荷が低い材料になります。日本におけるコンクリート工法のこれからを考えた場合にも、PC工法を取り入れた工法はより積極的に研究されるべきだと思います。
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