山本想太郎(やまもと そうたろう)

1966年東京生まれ。早稲田大学理工学研究科(建築専攻)修士課程 修了後、坂倉建築研究所に勤務。2003年建築家ユニット、プロスペクターを共同設立、2004年山本想太郎設計アトリエ設立。現在、東洋大学非常勤講師。INAX住宅産業フォーラム講師。『DETAIL JAPAN』誌技術翻訳総監修。主な作品に「水戸N邸」「国分寺の家」「板橋のリノベーション」「汐留プラザビル」など。主な著作に『テクトニック・カルチャー』(共訳、2002年、TOTO出版)、『現代住居コンセプション』(共編著、2005年、INAX出版)など
WEBサイト:http://park16.wakwak.com/~prospector/

6 06 2007

ディーテイル・ノート――ローコストについて

6月号のDetail Japanの後半の特集「ローコスト建築」は、欧州の建築業界の状況が垣間見えてなかなか興味深いものです。ローコストという状況下ではある程度既製品や標準工法を採用せざるをえず、どのような材料が安いか、どのような工法が標準的か、ということがよくわかります。

たとえば日本と比較して、木材(仕上用)やガラス、断熱材などはかなり安価のようです。またプレファブの壁面パネルなどもいろいろとあるようで、上手く活用されています。このプレファブ製品が日本におけるALCパネルのように「いかにも既製品」として外観で見えてこないのは、ほとんどの場合、その外側に外断熱+仕上げが施されることになるからでしょう。今までも触れてきたように欧州では断熱性能が法基準によって定められているため、この外断熱工法も標準工法として確立されており、コストも合理化されています。

このように、各国の既製品や標準工法の差によってローコスト建築に用いられる建材は変わってくるものだと思いますが、根底にある考え方が、デザイン・機能・コストをいかにギリギリまで削ったうえでバランスさせるか、というパズルを解くことであることには変わりがありません。木製の外壁仕上げなども、気候条件や、仕上げの状態に対する考え方という点で、日本よりは耐久性が問題になりにくい状況であることによって採用されていると思われます。そのような視点で見ると、日本ではちょっと真似できないこれらの海外建築にも親近感が持ててくるのではないでしょうか。たとえばP62の「ダルムシュタットの一戸建て住宅」では気積に対する表面積を小さくするように形状の工夫をしていますが、これなどは日本でも使える検討手法では。

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