
1956年、鹿児島県生まれ。京都工芸繊維大学卒業後、1990年、有馬裕之+Urban Fourthを設立。 主な作品に 「MA」「太宰府の住宅」「introspective」「ab」「second plate」「studio D」「M/異化された場」。 現在、コンセプトプログラム「earth lounge」を進行させている。
時々、隙間のような時間を見つけては車を飛ばして120キロの距離を超えて
会いに行く「オブジェクト」がある。
それは美術館のエントランスを少し外れた横にひっそりと置かれている。
車を止めて、木立の中を5分程歩き、さりげなく廻りを観察することから始める。
通り過ぎる人はその存在には気付かない。
それは70cm立方に入ってしまう大きさだ。
台座に固定されているが私にはいかにも生きているように感じられる。
歪んだ四角形。うねり。滑らかな面。
操作された凹凸の変化/変容。
全体を手で確かめ、稜線を追い、そして離れて全体を眺める。
「端から見ると、なにかとじゃれているようだな。」と言われたことがあった。
帰りに…
少し遠回りして、水平線が見える海辺に立ち寄った。
静かだ。
すでに水の色や点在する島々には春の輝きがある。
波打ち際の砂浜は透明な白い泡で覆われている。
波は一瞬にして消える。その波形が集まってあの「オブジェクト」になったのだろうか?
空は晴れていて、風景ははるか遠い。ところどころぼんやりとかすんでいる。
「ここしばらく気温が下がって真冬に戻っている影響だろう。」と人の低い声がした。
太陽の光が増え、それを反射する波の青さや木の緑が輝きを増し始めている。
自然には複数の変化するcodeが存在する。
それらはそれぞれに多様で、状況がずれて変化が重なり合うことによって同じ景色も全く違う。
私たちはその変化の中に居て、翻弄され動かされている。
120キロの距離を離れて…1958年制作のオブジェクト/「女神のための貝」。
海辺の響きが聞こえる。アルプ72歳の作品。
「変容の連続」…それぞれの面が、一瞬の波の消滅を捉えたコラージュのように…。
しかし、根拠は要らない…終焉し切り離され多義的に「残像」としてここにある。
廻りは桜の森。今はまだつぼみだが、しばらくするとたくさんの人でにぎわうだろう。
2:26 PM
アルプの作品は、日本でも各地の美術館で展示されているようですが、あまり記憶に残っていません。
現代彫刻としては、例えばムーアのような強靭な存在感をあまり感じさせないのではないでしょうか。トルソを抽象化したような曲面主体のボリュームのある彫刻が多いようですが、「女神のための貝」は、鋭角な線が際立っているというあたりでアルプの他の作品より印象に残りやすいかもしれません。
リチャード・マイヤーの手になる美術館が、建設中とか。マイヤーよりもゲーリーの形態の方が、アルプの世界を包み込むにはふさわしいかもしれませんが・・・。
投稿者 D : October 31, 2007 8:11 PM