有馬裕之(ありま ひろゆき)

1956年、鹿児島県生まれ。京都工芸繊維大学卒業後、1990年、有馬裕之+Urban Fourthを設立。 主な作品に 「MA」「太宰府の住宅」「introspective」「ab」「second plate」「studio D」「M/異化された場」。 現在、コンセプトプログラム「earth lounge」を進行させている。

Dec 08 2006

コロナ

コロナに着いたのは夜の9時過ぎだった。
中に入ると、すでにたくさんの人でにぎわっていた。
到着してからすぐに皆でサルミアッキウォッカを飲み始める。
来る度にチャレンジしているが、この味にはなかなかなじめない。相変わらず不味い。
飲み干そうにも喉元で止まり悪戦苦闘してしまう。

カウリスマキの娘に会ってしばらく話しをしていた。
彼女はコロナのディレクターだ。
今夜は、地下のドブロニクでパーティーが開かれていた。

凍結した道を歩いてここまで来た。
ヘルシンキは、冬はヘビーな靴を履いて、夏はスニーカーでぶらぶら遊歩するというのが楽しい。
何回訪れてもそう思う。そして歩いて行ける距離に全てがあるのが気に入っている。
列車に乗りながらの移動もいいけれど、旅の楽しみは街の遊歩に勝るものは無い。
今日はまさにそんな一日だった。

カウリスマキの映画作品を評して「絶対に美男美女が出てこない映画だ」と友人の作家が話していた。
そこにはハリウッドスターの輝きは全く無く、ある意味無骨で洗いざらしのキャラクターが出入りする。
しかも皆無表情だったりで、不思議な演技が繰り返される。
ルポやドキュメントを見ているような感触…とでも言おうか。
日常をコンタクトに描くことに徹し、カウリスマキ指示による厳格な演技があって、
時折に見せる繊細な「間」が俳優のキャラクターを脳裏に刻み付ける。
しかも、彼の映画の主題はリアリズムでは全くない。私には独特のSF的なきわめて不思議な幻想の世界に思える。
それが美しい映像と重なって、意識を引き込んで行く。


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先ほどまでセッションしていたmika tolvanenと彼のスタジオのことを思い出す。
彼は、まさにカウリスマキ映像に出て来るキャラクタ−そのもののように素朴な作家だ。
媚びを知らない生粋のフィンランド人。
彼と話しながらカウリスマキ映画の俳優の姿がフラッシュバックしていた。
mikaのスタジオは街外れにあって行き着くのに苦労した。
古い建物内の未完成のペンキ仕上げの空間は鮮烈であった。
彼の作品である「SIVU」はすばらしい。是非にたくさんの人に見て欲しいと思っている。


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深夜12時を過ぎてもコロナはまだまだ人が絶えない。
急にサルミアッキウォッカが胃の奥底からこみ上げて来て、口の中になんとも言えない
アンモニア臭が漂い始めた。

夜は長い。


11:07 AM

コメント

カウリスマキってなんか舌を噛みそうな名前ですけど、『コントラクト・キラー』ってたしか彼の作品でしたよね? ジャン=ピエール・レオーがシミの目立つ、疲れきった顔で出てきてショックを受けました。人生に絶望しきった彼が、殺し屋に自分の殺人を依頼するという筋立てだったと思いますが、しかし、図らずも若い娘に恋をしてしまった彼が今度は命が惜しくなって殺し屋から逃げまくる……、恋する中年男レオーの顔に生気が戻り、デビュー以来のいつものドタバタが始まるのがなんともおかしく、また、肺ガン病みの殺し屋というのも設定がしゃれていて、というのが印象に残っていますが、その後、カウリスマキの映画は観ていないのですね。
何がベストか教えていただけるとありがたいのですが……ぜひ観てみます!

投稿者 DJ内野 : December 11, 2006 10:59 AM




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