
本名、内野正樹(うちの まさき)。1960年静岡県生まれ。82年に編集者となって以来、雑誌一筋。88年より建築の世界に入る。05年4月、DETAIL JAPANを創刊。現在、同誌編集・発行人
エレガンスというのは、日本語では、優美ということになるが、これもまた消え去ろうとしているのではないか。
だいぶ前に、フレッド・アステアとジーン・ケリーを比較して、ケリーのダンスにはエレガンスが欠けていると思ったものだが、その後、ある映画を観ていてアッと思ったことがある。それはフランソワーズ・ドルレアックとカトリーヌ・ドヌーブの美人姉妹が主演した、ジャック・ドゥミー監督による『ロシュフォールの恋人たち』で、ジーン・ケリーとジョージ・チャキリスが共演しているのだが、チャキリスの「運動会的団体演技」に比べて、ケリーのダンスがとてもエレガントに見えたのだ。
たった30年ほどのスパンで、アステア―ケリー―チャキリスとミュージカル映画のダンスの質が変わり、チャキリスに到ると、もはや、エレガンスとは程遠い「運動」しかない(しかも、一人では到底「持たない」ので群れて踊ってごまかしているように見える)。
ドゥミーの映画からさらに40年が経っている。ミュージカル映画で得た感想で現代社会について語るのもなんだとは思うが、昨日書いた「高貴さ」に比べ、まだ「優美さ」のほうは、時たま出合う機会があるものの、周りを見回す限り、やはり、われわれが失いつつある価値であることに間違いなかろうと思う。
10:20 AM
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