有馬裕之(ありま ひろゆき)

1956年、鹿児島県生まれ。京都工芸繊維大学卒業後、1990年、有馬裕之+Urban Fourthを設立。 主な作品に 「MA」「太宰府の住宅」「introspective」「ab」「second plate」「studio D」「M/異化された場」。 現在、コンセプトプログラム「earth lounge」を進行させている。

Jan
06
2009

nomad

モンゴルでたくさんの人に会った。 彼らの生活/マンホールチルドレン/経済の窮状/民族の自立/自然の美しさ… 多くのことを学んだ。 「寒くて大変な気候だから…。ここには何も無い。」と一緒に居たドルジュが話 しかけて来た。 最後の日に郊外に連れ出され、車を止めて並んで風景を見ている時だった。 確かに土の起伏以外には何も無い。 道路に立ち尽くした。 しかし、ここが原点で、ここから彼らはnomadとして始...

Jun
07
2008

ベローナにて

この数日思いだしている。今年の冬に訪れた教会のことだ。 早朝に、ベローナのはずれの小高い丘にある古い村落に行った。 現地の人が知るだけのそれほど知られていない約2000年前に完成した教会。 前の日から続く濃い霧の中。 rosso bellonaの小さな石片を荒く積み上げたこの教会には「素形」という言葉 がぴったり。屋外の半地下のようなところに信者の住居跡があってそれは斜面に 出来た窪地を利用した簡...

Apr
21
2008

kiitos

汐留の先に船溜りがある。 橋の欄干の扉を開けて狭い階段を降りるとすぐに潮風の匂いがする。 街の喧騒から離れ静かだ。眼前に黒い海面が迫って来る。 ここはたくさんの船が停泊する隠された秘密の場所。人影の少ないひっそりした 船溜り。 東京は海と接しているのだが、湾岸道路を歩いていても「潮風」を強く感じるこ とが希薄なように思う。 しかし、急に潮風が匂うのはなぜだろう。 この扉が結界となっていて、「開ける...

Feb
28
2008

桜/庭

1月の下旬、朝、ミラノのGaribaldi街を歩いた。 通りの反対側に3本の木が立っている。桜の木だ。 それが薄くピンク色がかっていた。 目の錯覚かと思いながら近づいてみると、たくさんの小さな花びらがついている。 満開では無いが明らかに開花している。廻りはぼんやりと霧が立ちこめている。 じっと見ていると通りすがりのおじいさんが近づいて来て「strange」とささやき、笑いながら去って行った。 友人...

Jan
19
2008

熱帯/タロキチ

ぎらぎらと太陽はすでにかなり上空にある。 部屋の窓を開け放して庭の緑を眺めていた。 巨大な葉が地面から直接生い茂っている。その大きさに遠近/スケールが狂ってしまう。 場所はウブド・渓谷に面する集落のような中の一室。 しばらくぼんやりしていると、茂みの中からなにかが現れた。 グレーと白…小さな猫だ。 ゆっくりとテラスを横切って通りすぎようとした。 「ヤー…」と声をかけると立ち止まり少し怪訝な顔で見...